「持ち家か賃貸か」「戸建てかマンションか」…ついに正解がわかった

2018年9月14日

「人生最大の買い物」といわれるマイホーム。はたして買うべきか、買わざるべきか……。「購入派」と「賃貸派」、そして「戸建て派」と「マンション派」の論争は、いつまでたっても平行線のままだ。では、「生涯収支」の観点から見ると、どの選択がトクになるのだろうか? 『人生を黒字にするお金の哲学』の著者で、公認会計士の林總氏が論争の「決着」をつける。

メリット、デメリットを考えよう

家を買ったほうがいいのか。買わないほうがいいのか。



 これは永遠のテーマともいわれる問題です。



 購入と賃貸には、それぞれのメリット・デメリットがあります。ご存じの人も多いでしょう。



 購入のメリットは、資産になる、老後が安心、設備のグレードが高いなど。デメリットは、住み替えしにくい、維持費がかかる、頭金が必要など。



 賃貸のメリットは、住み替えが可能、修繕の必要がない、不動産価格下落の影響を受けない、災害による資産の目減りがないなど。デメリットは資産にならない、リフォームできない、老後も家賃が発生するなど。



 購入派と賃貸派のメリットとデメリットは相反するものなので、どうとらえるかは本人次第です。マネー誌などの特集を見ると「ライフスタイルや価値観は人それぞれなので、一概にどちらがよいとはいえない」という結論が多いようです。



 私の考えをいわせてもらえば、可能であれば購入することをおすすめします。



 なぜかといえば、老後対策です。

何かを決断するときは、先を見通すことが大切です。



 私たちはリタイア(定年退職)後、年金生活者となります。



 再雇用などで働くにせよ収入は大きく下がりますし、60歳で完全にリタイアすれば、65歳の年金受給までの5年間は無収入となります。



 老後というのは、資産を切り崩して生きていかなければならない年代なのです。現役時代と違って、病気など不測の事態も起こりやすくなります。



 少ない収入のまま、いつまで生きるかもわかりません(平均寿命は男性81歳、女性87歳)。



 人生の三大支出は住居費、教育費、老後資金です。収入が減少する老後に住居費と老後費用がダブルで必要になるというのは、かなりのマネープレッシャーです。



 賃貸では生きているかぎり家賃が発生しますが、持ち家なら必ずかかる費用は固定資産税くらいのものです。

価値の下がらない家を選ぶ

ただし、ここですすめる住宅購入は老後のマネープレッシャーを小さくするための手段ですから、80歳までの住宅ローンといった無理な資金計画は論外です。



 身の丈に合わない高額の住宅を購入し、何十年もゆとりのない生活をしたり、住宅ローンが破たんしたりするようなことがあれば、間違いなく赤字の人生を送ることになります。



 また、定年までは賃貸で貯蓄をし、老後に現金で小さな家を買おうという人もいます。しかしそう簡単に住宅資金が貯まるとはかぎらず、老後資金が手薄になる可能性が大きくなります。家賃と住宅資金のダブルでお金が必要になるため、生活にも余裕が生まれません。



 会社から潤沢な家賃補助が出るというような人以外、あまり遅くならないうちに準備をはじめることをおすすめします。



 遅くとも、リタイアまでに老後の住まい(ローンのないもの)を確保できると、老後のマネープレッシャーはかなり小さくなります。家を持つことは、究極の老後対策であるともいえるのです。自分の終の棲家はどこになるのか、できるだけ早く計画し、準備しておくことをおすすめします。

ただし、買うのはどんな家でもいいというわけではありません。



 では、どんな家を買えばいいのか。



 ずばり、資産価値の高い家です。



 家計は複式簿記の考え方が大切です。バランスシートで資産と負債のバランスをほどよく保つためには、資産価値の高い(資産価値の下がらない)物件を選ぶべきです。



 ただでさえ、住宅の建物部分は年を経ることによって資産価値が下がります。資産価値が下がるスピードが早くなると、バランスシートの負債(住宅ローンの残高)と資産(不動産価格)の乖離が激しくなります。



 そうなると、まだ3000万円以上のローン残高があるのに、家の価値は2000万円に下がってしまったといった事態も起こりうるのです。不測の事態になったときに家を売却しても、ローンを完済できない状態です。これをオーバーローンといいます。



 資産価値が下がらない家を選べば、バランスシートはほどよくバランスし、貯蓄によって純資産が増えていきます。たとえ家を売却するような事態になっても、売却によってローンを返済することが可能です。不動産価格が上がれば、持っているだけで資産が増えることもありえます。

買っていい家、いけない家

次の2つの物件なら、あなたはどちらを選びますか? 

 A、駅から徒歩30分(バス利用)。5LDKの広々とした新築一戸建て

B、駅から徒歩3分。築10年の3LDKの中古マンション



 資産価値が高いのは、当然Bです。



 まず、木造の戸建てと鉄筋のマンションでは、耐用年数が違います。法定耐用年数は、鉄筋コンクリート造りのマンションが70年、木造戸建てが33年です。築10年の差があっても、マンションに軍配が上がります。



 そして、資産価値を重視するなら、利便性が重要です。なるべく駅近で都心部に近いところ、車利用の地方でも、交通アクセスのよいところがおすすめです。長い人生を考えたとき、通勤に1時間半かかる豪邸よりも、30分で通える小さなマンションのほうが、はるかに価値が高いと私は考えます。



 利便性にくらべれば、家の広さなどそれほど大きな価値はないと思っています。わが家は文京区の2LDKのマンションで、息子を4人育てました。4人を10畳に押し込めて(2段ベッド×2を利用すれば可能です)、十分暮らしていけました。現在は3人が家を出ているので、とても快適に暮らせています。

利便性のよさに加えて、環境のよい場所であることも大切です。特に子育てをするなら、近隣環境は非常に重要です。その地域の治安や教育レベル、施設の充実度などを十分に精査しておきましょう。



 新築物件は、部屋もまっさらで美しく、キッチンやお風呂など水回りの設備も最新です。そういった部分に心をひかれるのも当然です。しかし、住みはじめた時点から、新築物件は中古物件になり、どんどん古くなります。



 水回りなどはあとからいくらでもリフォームすることが可能です。しかし、環境や地の利といった部分は、自分ではどうすることもできません。



 家の広さや新しさ、グレードばかりに価値を求めると、数十年後に資産価値のない家になりかねないのです。



 マンションなら断然築浅の中古がおすすめです。中古であれば管理の状態や住民の質も確認できます。新築で同じような世代がごそっと入居するよりも、さまざまな年代の質のよい住人がいて、新陳代謝が活発なマンションがおすすめです。



 住宅購入では、次の点をよく確認してください。



 ・交通の便がよいこと(駅徒歩7分以内、通勤に便利な路線、急行停車駅、都心に直結した路線であればなおよい)

・病院、郵便局、銀行、スーパー、学校(子どもがいる場合)が近いこと

・環境(治安、道路状況、近隣住民の質など)がよいこと

・マンションの場合、住民の質、管理の質がよいこと



 住宅の資産価値を考えるときは、数十年後を想像してみるのがコツです。

林 總

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180914-00057339-gendaibiz-bus_all&p=1