ヤバい物件をつかまされないために! 警戒すべき不動産営業とは?〈dot.〉

2020年12月25日
自分の希望にかなった家や土地を探すためには、いい不動産業者との出会いが欠かせない。ここでは、不動産・建築業界取材歴20年超の業界紙記者が、年末年始で慌ててヤバい物件をつかまないために、有能な不動産営業の見極め方をお伝えする。
 
 
 
■年末年始は「稼ぎどき」 セールストークにご用心
 
 
年度末3月に向けた引っ越し、入居を目指した賃貸物件や分譲物件探しは、年明け1月が最初のピーク。不動産業者は12月から1月にかけて、年度末に向けての顧客を確保しようとモチベーションを高めている(別記事「年末年始「物件探し」は要注意! ヤバい不動産屋の見極め方」参照)。今回は実際に接客する営業担当者とのコミュニケーションを中心に、ヤバい業者にハマらないためのチェックポイントを説明しよう。
 
 
年末年始の営業担当者は、ノルマをクリアするため、なるべく多くの見込み客を抱え込もうとし、また早々に契約して自分の売り上げを伸ばそうとしている。いわば「稼ぎどき」だ。テンション高く張り切って、問い合わせてきた客を自分のペースに引っ張り込もうとする営業担当者もいる。そのセールストークにうかつに乗ってしまうと、納得のいかない物件をつかまされてしまうことにもなりかねない。
 
 
 
■営業担当者は第一印象がすべて
 
 
不動産業では大きな金額を日常的に扱うため、営業担当者は遺産相続、家庭不和、金銭問題などシビアなトラブルに巻き込まれることも少なくない。修羅場に直面するだけに、海千山千のしたたかな人間も多い業界だ。そこでチェックしたいポイントは、「営業担当者のキャラクター」である。以下のような兆候が見られたら、警戒したほうがいい。
 
 
・雑談が成立しない
 
雑談は、お互いの様子を見ながら興味や見識を確かめ、テンポを合わせる配慮がないと滞ってしまうものだ。一方的にしゃべりまくるような営業担当者は論外。逆に、あまりに無口なようではこちらが話しかけづらい。そのあたりをきちんと配慮できる営業は有能だ。
 
 
・話を聞いていない
 
会話がスムーズに流れているようでも、なぜか内容が食い違う。聞きたいことに対して、関係のない話題にそれていく。そんな営業担当者は、うなずいているようでもこちらの話を聞いていないことが多い。客の言うことは適当にあしらって、どの物件を推していくか、その段取りで頭がいっぱいなのだろう。
 
 
・身なりやしぐさが気になる
 
スーツの着こなしがだらしない、清潔感に欠ける、しぐさや話し方のクセが気になるなど、「ちょっとイヤだな」と感じてしまう相手とはやはり商談が難しいものだ。
 
 
こうしたチェックポイントを一言で表すなら「相性」ということになる。そして第一印象でよくないイメージを持った場合、そのジャッジはだいたい正しい。
 
 
接客を担当する営業は、この後の物件案内から契約までの付き合いとなる。大きな出費を伴う取引となるだけに、本当に信頼できる相手か、きちんと見極めたい。
 
 
 
■物件案内ではデメリットの確認が最優先
 
 
通常、物件案内の場合、不動産業者の事務所から営業担当者の運転する車に乗って出かけることになる。客と自分と「2台に分かれると動きにくい」「現地に駐車スペースがない」などの理由があるが、「自分の車に乗せてしまえばどこにでも連れていける」「客を勝手に帰さずにすむ」という本音も透けて見える。
 
 
客としては興味のある物件だけを見に行きたいのだが、いったん乗車すると「道すがらですから」ということでたいてい数件、引き回されるものだ。候補の物件を複数ピックアップしているときは、道順もあるが、たいてい「難アリ」の物件から見せていく。そこでは営業担当者は、いかにこの物件が「よろしくないか」を伝えるのだ。
 
 
そのうえで客にとっての本命の物件を見せることで「こんなに好条件の物件はここしかない」という印象を持たせて、「すぐ決めないと他の人にとられてしまう」と思わせるのが狙いだ。
 
 
その勢いに乗せられては、確認すべき大事な点を見過ごしてしまいかねない。次のチェックポイントは「現地見学のときの質問に答えられるか」だ。
 
 
 
■営業担当者は質問に答えられるか
 
・物件のデメリットを確認する
 
不動産の営業担当者は物件を売ると、自分の給料に販売報酬が上乗せされることが多い。売らないと稼げないので、売りたい物件については長所を並べ立てる。そこで現地見学の際は、その長所を確認しつつ、逆に「デメリットは?」と聞いてみよう。どんな物件でも必ず長所と短所がある。知識のある優秀な営業担当者なら、あとでもめるのを避けるため、短所であってもきちんと伝えてくれるはずだ。
 
 
・物件価格の相場との差を聞く
 
「お得な物件ですよ」というのであればそのエリアにおける不動産価格の相場と比べてどのくらいお得なのか、聞いてみる。また、その物件がなぜ相場より安いのかも、見学を踏まえて確認する。不動産に「掘り出し物」は存在しない。安い物件には必ず理由があるのだ。
 
 
さらに、可能であれば、下記のように物件周辺の状況なども確認しておければなおいい。
 
 
■物件周辺を自分自身でチェック
 
 
・物件の周辺の様子をチェックする
その物件がどのような環境にあるのかを自分の目で確認する。住宅地として古いのか新しいのか。近隣の住民は高齢なのか若いのか。筆者が物件を探したときは、隣家の庭木や車を見て、きちんと手入れがされているかをチェックした。外まわりが荒れている家があるようなら要注意だ。
 
 
・近隣住民と会話する
不動産業者が空き物件に客を案内していることに気づくと、近隣の住民が様子を見に出てくることがよくある。すかさず挨拶して話しかけてみるといい。「日当たりのいい土地ですね」「緑が多いですね」「駅が近くて便利ですね」など、メリット面から声をかけると、気をよくして警戒を解いてくれる。数分の雑談だけでもその地域の雰囲気がわかる。
 
 
なお、本命の物件の前後に、その不動産業者が自社開発した分譲住宅に連れていかれることがある。これは、仲介だけだと収益が少ないので、本当は自社で土地を仕入れて建物まで用意した“お得な”物件を売りたいからだ。
 
 
こういうときはある程度案内に付き合ったら、「時間がないので」とさっさと切り上げよう。業者の利益を確保するために工務店に安く建てさせている建物である可能性もある。そうなると、断熱性能も期待できないし、施工管理も不十分で雨漏りなどの不具合も発生しがちだ。よほど立地がよくて売却しやすい物件ならともかく、業界を知る者としてはお薦めできない。
 
 
もちろん、こんな業者ばかりではないし、良心的な不動産業者、優秀な営業担当者と出会うことができれば、自分の納得のいく物件を見つけることも十分に可能だ。2、3月になるとさらに物件探しのライバルは増える。
 
 
今回ご紹介したチェックポイントを念頭に置いて、なるべくなら12月のうちに、遅くとも年明け早々には始動して、信頼できそうな不動産のプロと巡り合っておこう。
 
 
(文/山本五月)
 
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/56183648407f54794f905c51709033139d9b111d?page=1