リフォームやリノベーションで詐欺に遭わないためには?

2018年8月31日

中古マンションを購入してリフォームやリノベーションをしたら、思い通りの住まいを手に入れられるかも――。そう考えるとうっとりしてしまう人もいるかもしれませんが、近年は悪質な詐欺行為をはたらく業者も少なくないようです。

住宅という大きな買い物で、被害に遭わないためにはどうしたらよいのでしょうか。さくら事務所会長の長嶋修氏が語ります。

■リノベーションで最も深刻なのは「配管問題」

割安な中古住宅を買って、思い通りにリフォーム・リノベーション」といったセールストークが展開されるようになって久しいのですが、このところ各所でトラブルが頻発しているようです。



特にこうした事業への新規参入組は、さしたる知識や経験の積み上げがないため、リフォーム・リノベーションにありがちな雑な工事や「言った言わない」のトラブルを耳にします。



まずリノベーションに関しては、とりわけ隠れて見えない上下水道の配管や電気配線について、リノベーション前の状態をどのように判断し、取り換え工事をしたのかしなかったのか、必ず確認したいところです。



中でも、「雨漏り」「水漏れ」などの「水問題」は、後に大きな問題となる可能性があります。最も深刻な「配管問題」について説明します。



例えば築30年以上の古いマンションでは、金属製の給水管が使われていることがあります。本来ならそろそろ給水管の交換を検討するところ、それを行わず、配管は古いまま表面だけきれいにして、「リノベーション済」として販売されているケースも多いのが実情です。こうしたマンションは、リノベーション事業者が相場の8割程度で買取り、リノベーションを施して再販売する、いわゆる「買取再販物件」に多いのです。



どうしてそのようなことになってしまうのでしょうか。

買取再販を行う事業者は常に、ライバルとの猛烈なマンション買取り(仕入れ)競争にさらされています。このとき、上下水道の配管交換工事まで勘案してしまうと買取価格を下げざるを得ず、他社との競争に負けてしまうといったジレンマがあるのです。



そのため、表向きは「全面リフォーム済み」「リノベーション済み」とうたっておきながらも、目に見えないこうした部分はそのままにしてしまうわけです。

■「瑕疵保険付き物件なら安心」はウソ



「事業者が売主なら補償がついているから安心」とはとてもいえません。なぜなら、こうしたマンションに一般につけられている2年程度の「瑕疵保険」は、現在の配管の状態を補償する訳ではありません。保険の適用期間が切れる3年目や4年目以降に故障する可能性があっても付帯できるからです。つまり現在、配管が古く交換時期に差しかかっていても、その時点ですでに水漏れしていなければ、交換せずに保険だけかけておくケースが多いのです。



仮に2年以内に水漏れが発覚して保険を適用する場合でも、修復するには全面的に建物を取り壊す必要があり、入居者はいったん引越し、数カ月後にまた戻ってこなければなりません。この期間中の「調査費用」や「転居・仮住まい費用」「引越し代 」は補償対象ですが、「時間的損失」「精神的な損害」などは保証されません。

■最低2回、有資格者による確認を



冒頭で言ったとおり、昨今はリノベーション事業に新規参入する事業者が増加しています。事業者によってはトラブル可能性を排除できるだけの能力や経験がないことも多く、また工事管理体制の甘い事業者は定期的に欠陥や不具合を生み出しているのが実情です。



こうしたことを防ぐには「工事管理体制」を確認するとよいでしょう。どんな資格を持った人が、工事現場を何回確認するのか。建築士や施工管理技士などの有資格者による、最低限「解体後設備配管終了時」「完成時」の2回は確認が必要です。



■リフォームトラブルは手口が多様化



リフォームトラブルについて国民生活センターに寄せられる苦情の中で最も多いのがいわゆる「訪問販売」。不要不急の住宅リフォーム工事の訪問販売を行う事案が多く発生しているとして、「突然の訪問に注意」「安価な金額でもすぐ契約しない」「『近所で工事をやっている』と言われても安心しない」「必ず複数社から見積もりをとること」「契約後8日間以内ならクーリングオフが可能」といった注意点や対処法を呼びかけています。



とはいえ、一見好青年風のセールスマンがやってきたり、最初は少額工事で安心させておいて、後から次々と工事を提案したりするなど、手口はますます巧妙化。最近は営業マンや上司風の人が次々とやってきては工事を勧める「劇場型」も登場しているようですので、気を抜けません。

■リフォーム業者、3つのチェックポイント



自宅をリフォームするなら、きちんとした業者に頼みたいというのは、だれもが願うこと。では、良い業者とそうでない業者の見分け方とはどういったものでしょうか。



1.一式見積もりに注意



工事内容に関し「一式」とだけ書かれている見積書は意外と多いもの。それが、「解体工事」「クリーニング」「残材処分」「現場管理」のような、本体工事ではないところなら、問題はありません。しかし「造作工事」や「電気・水道工事」(内装・塗装工事)のような本体工事について、「一式」とだけしか書かれていない場合は要注意です。特に、リフォームしたい箇所だけを聞いて、「それは○○万円でできます」などと話す業者には注意。「水まわり一式30万円」などのパック料金型も同様です。



竣工図を見ない見積もりは、金額が大雑把になりがち。床や壁を解体したときに骨組みの状態や内部の傷み具合が不明で、別途工事が必要になったり、想定外に工期が延びたりしたときのために、一定程度の額を上乗せして見積もりを算出することがあるためです。



たとえ見積もりが安くても、業者が工事開始後に採算がとれないことに気づくケースもあります。その時点で料金を上げるわけにもいかず、気づかないところで手を抜くといったことになりがちです。

2.契約から完成まで、必要な書類があるか



契約前、建築中、契約(完成)後、工事の段階に応じた必要書類があります。契約前には、金額の大小にかかわらず、必ず「請負契約書」を取り交わしましょう。同時に、お互いの約束事を書面に記した「請負契約約款」もそろえておく必要があります。いずれも基本的には業者が用意するものですが、発注者もよく内容を確認しなければなりません。「約款」については、クーリングオフについて定めてあるものがベスト。



建築中に必要になるのは「工事内容変更合意書」です。当初の仕様や金額などの契約内容が途中で変更になったら、必ず取り交わします。



最後に「工事完了確認書」。リフォーム後のアフターサービスがある場合には、この書類に記載された日付が開始日となります。これらの書類は最低限必要なものですが、大切なのは、それぞれが適切なタイミングで用意されることです。



リフォームの際にありがちな「言った、言わない」のトラブルを避けるには、業者との打ち合わせの内容を記録しておくことをおすすめします。打ち合わせで決まったことをメモしておくとともに、工事前の状態、工事計画を記した図やスケッチなどを残しておけば、後で確認するときに便利です。業者によっては、専用の「打ち合わせシート」を用意してくれるところもありますので、打ち合わせの前に聞いてみてはいかがでしょうか。



簡単な工事ならまだしも、一定規模以上のリフォームや修復の場合、あなたが希望している内容の工事ができるかどうかは本来、建物が最初にできたときの状態を記した「竣工図」を確認しなければわからず、まともな見積もりも出せません。

竣工図とは、建物を新築するときに発生した設計変更などを元の設計図に反映させた図面のことです。配管や配線などは工事中に変更されることも珍しくありません。修繕やリフォームの際には、原状を把握するために、設計図ではなく竣工図が必要になってくるのです。



3.管理規約を閲覧していること(マンションの場合)



マンションの管理規約には、例えば、音にまつわるトラブルを防ぐため、フローリングの等級が規定されていたり、工事を実施する前に管理組合に対して行う必要がある手続きやリフォームが可能な曜日などが定められていたりします。



工事可能なリフォームの範囲や工程を割り出すには管理規約の確認が不可欠。仮に管理規約を業者に預ける場合には「預り証」を交付してもらいましょう。

■高齢の両親が騙されるケースも



国民生活センターに寄せられた相談の中には、高齢の両親がリフォームの契約したことを息子や娘が不審に思い、不要なリフォームが発覚したケースもあったようです。離れた実家に住む親とは日ごろからよくコミュニケーションをとっておくことも大切でしょう。



長嶋 修  さくら事務所創業者・会長

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180831-00158566-suumoj-life