大阪の「ニシ」がキタ、ミナミを超える日 万博、IRで注目

2019年2月8日

2025年の国際博覧会(万博)の開催地に決まった大阪へ、世界からの不動産投資の関心が集まりそうだ。長年活用されず「負の遺産」とされてきた万博会場の人工島・夢洲(ゆめしま)では今後、鉄道の延伸や商業施設の開発が進み、さらにカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致も期待されている。近年、大阪市中心部の「キタ」「ミナミ」の不動産市場はホテルやオフィスビルの需要の高まりで活況だが、「ニシ」に位置する湾岸部が新たなにぎわいの拠点としてさらなる投資の呼び水となるか。(阿部佐知子)

■始まる夢洲開発



 昨年11月の万博開催地の決定を受け、先陣を切って動いたのは大阪メトロ。同社は、万博開催前年の24年までに、現在はコスモスクエア駅までの中央線を、会場となる夢洲まで、海底トンネルの「夢咲トンネル」を経て延伸する。さらに、夢洲新駅と商業施設が一体化した高さ275メートル規模の「夢洲駅タワービル(仮称)」を建設する方針も発表。地上55階建てで飲食店や店舗、ホテル、オフィス、展望台などからなる大型施設で、投資規模は1千億円超を見込む一大プロジェクトだ。



 このほか、万博会場と隣接して、大阪府・市はIRの誘致を目指している。誘致が決まれば、JR西日本が桜島線を舞洲(まいしま)を経由し、夢洲に延伸する計画や、京阪電気鉄道が中之島線を大阪メトロ中央線の九条駅に接続する計画もある。

■大阪の不動産投資にはいい影響



 不動産サービス大手、ジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)が発表した「万博開催に向けたインフラ開発」とするリポートによると、特にこの中で、新たな鉄道路線の整備が進めば、湾岸部で万博開催の経済波及効果を見据えた開発が実施されることなどを予想。こういった民間資本による開発が、大阪の不動産市場の価値を高めると分析する。



 JLL関西支社キャピタルマーケット事業部の秋山祐子さんは「IR従業員向け住居などの投資を検討する動きが出始めている」と説明。また「万博で大阪の企業の持つ高い技術などを発信することで、企業誘致につながる可能性もある」と指摘する。

■湾岸開発が大阪を変える?



 近年の大阪の不動産市場は追い風だ。景気の回復により需要の高まるオフィス、訪日外国人(インバウンド)の増加によるホテル、投資用マンションなどの建設が続く。



 これに伴い、海外からの投資は拡大。JLLの調べでは平成30年、100億円以上の大型不動産取引は大阪で15件あり。7~9月の取引額は過去最高だった。



 インバウンド需要の高まりは、大阪の街の様子も変えてきた。大阪市中心部では、鉄道の2大ターミナルである梅田周辺と難波周辺をそれぞれ「キタ」「ミナミ」と呼ぶが、アジアからの観光客に人気の道頓堀や心斎橋といった観光地を抱え、関西国際空港に近いミナミが近年の開発ではリードする。30年に発表された商業地の地価では、ミナミの「クリサス心斎橋」がキタの「グランフロント大阪」を初めて上回った。実際ミナミでは、外資の商業ビルへの投資が目立っている。



 そんな中、新たな拠点として今後の開発が期待される湾岸部。期間限定の万博の開催だけでは、民間企業は慎重な構えだが、IRが決まれば投資が一気に動く可能性がある。IRには多くの外資系企業が関わるとみられることもあり、湾岸部の「ニシ」は、「キタ」「ミナミ」に続く新たな投資先として注目される。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190208-00000500-san-bus_all