好評です「空き家バンク」/弘前市、好立地・低予算で住み替え可能

2017年8月31日

青森県弘前市が2015年10月に運用を開始した空き家・空き地バンクが利用者に好評だ。2016年度末までの成約件数は31件で、「希望する立地に住むことができた」「思わぬ低予算で住み替えができた」などといった声が聞かれている。18年度からは、同市を中心とした8市町村の広域運用も始まる見通しで、さらなる利便性向上が期待されている。

 空き家・空き地バンクは市のほか、不動産団体と金融機関の3者が協議会を組織し運営している。協議会は物件情報をインターネットのホームページで公開し、事前に登録した空き家・空き地の所有者と利用者とを仲介。利用者には条件に応じた補助金が支給されるほか、金融機関から金利優遇措置を受けることができる。

 3月末現在の登録件数は物件59件、利用者32件。成約状況は15年度が9件、16年度は22件。うち2件が市外からの移住者だった。

 田町にあった空き家を解体した約120平方メートルの土地を450万円で購入し、昨秋、新居を建てた白戸求さん(31)牧子さん(33)夫妻は「バンクのおかげで、なかなか見つからなかった希望の物件と出会えた」と喜ぶ。

 求さんは板柳町の会社に、牧子さんは平川市の社会福祉法人に勤務していることなどもあり、立地優先で物件探しをしていたが、予算と折り合いのつかないものばかり。その矢先、空き家がバンクに登録されたという。

 建築費も含めた総額は約2450万円で、結果的に予算の2千万円を上回った。だが2人は「この辺で新たに土地が出ることはまずないと聞いていたし、場所の割には安かった。今回の出会いがなければ、いったんは新居をあきらめていたと思うし、なかったはずの助成金まで頂けてありがたかった」と言う。

 これまでの31件の成約のうち、空き家をそのまま利用したのは7件にとどまる。だが、市の2016年度の調査によると、市内にある空き家1412軒のうち、半数の732軒がそのまま利用できる状態、435軒が一部修繕で利用できる状態で、合わせると8割以上に上る。

 昨秋、城南にあった築50年以上の2階建て空き家を170万円で購入して、30代の娘と2人でそのまま入居した60代の女性は「築年数の割には状態がよく、住むには十分」と満足そう。「数々の不動産情報の中からどうやって希望するような物件を探せばいいか分からなかったが、バンクは行政も間に入っているので安心感があった」と言う。

 この女性は、過去には新築の一軒家に入ったこともあるというが「人生には優先順位があると思う。自分の現在の年齢や経済力を考えれば、これからは住む所よりも旅行などの趣味にお金をかけたい。これまで住んでいたアパートの家賃の支払いもなくなった」と安堵(あんど)感をにじませた。

 18年度から始まる予定のバンクの広域運用は、弘前圏域定住自立圏の8市町村(弘前市、黒石市、平川市、藤崎町、板柳町、大鰐町、田舎館村、西目屋村)が参加。各市町村の9月議会で関連議案を議決後、10月にも協定を締結する見通しだ。

 市建設部の鈴木政孝部長は「広域運用で物件が多くなることで利用者の選択肢が広がる。今後も新たな物件の掘り起こしやPR活動に努めたい」と話している。

東奥日報社

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170830-30120848-webtoo-l02