建物は4年で償却可能!「京都町家」を活用した相続税対策とは

2019年9月27日

本記事では、伝統的な京町家を宿泊施設して保存・再生する事業を数多く手がけてきた児玉舟氏の著書、『最強の京都「町家」投資』から一部を抜粋し、投資先としての京都「町家」の魅力と具体的な運営方法について解説します。今回は、「京都町家」を活用した相続税対策等について見ていきます。

京都は「路線価の乖離」が国内でも最も大きい⁉

京都町家投資には個人保有、法人保有のいずれにおいても、前回紹介したようにポートフォリオの一つとして大きな価値があります(関連記事「 インカムゲイン狙いに最適⁉ 京都「町家」投資の強みとは 」参照)。ただし税制面でのメリットには違いがあるので、投資目的に合わせて選ぶことができます。

まず、個人・法人いずれの場合にも減価償却があるため、収益のうち課税対象となる分はそれほど多くありません。また、個人の場合には相続税対策になるというメリットもあります。

一方、法人での保有を選択すると、個人とは異なる税率がメリットになるケースが考えられます。不動産所得は給与所得等と損益通算されます。個人の最高税率(所得税率+住民税率)は55%と高いため、医師など本業の収入が多い個人が保有すると、高い税率が適用されることがあります。法人の最高税率(法人税率+住民税率+事業税率)は36%なので、収入が多い場合には法人保有とすることで、課税額を引き下げることができます。

相続税対策の基本は、ほぼ額面どおりに評価される金融資産を、より相続税評価額の低い資産に切り替えることにあります。不動産は特に実勢価格と相続税評価額の差が大きいので節税手段としてよく用いられますが、なかでも京町家は相続への備えとして有効な資産です。

まず、京都は実勢価格と相続税の評価に用いられる路線価の乖離が国内でも最も大きいことで知られます。路線価は実勢価格の5分の1から10分の1程度と小さいため、その分相続税評価額を抑えられます。

加えて、建物は4年で償却可能です。つまり、町家を購入して4年待てば、土地と建物を合わせて、相続税評価額をかなり圧縮できるのです。

近年はアベノミクスの影響を受け、株価が上昇しています。株を保有する資産家の財産が増大するなか、京町家への投資は非常に効果が大きい相続税対策です。

また、資産家のなかには、単に財産を残すのではなく、思いや思想を後世に伝えたいと希望する人が少なくありません。京まち宿の運営は公共の財産ともいえる古都の景観や歴史、文化を後世に残すことにつながる社会的意義の大きなビジネスです。相続する遺族は社会的なステータスをも承継できるため、地域への貢献といった被相続人の生き方を受け継ぐことになるともいえるでしょう。

いずれにおいても大きな効果を発揮する京都町家投資は、資産家にとって最も有意義な相続対策なのです。

 

京都市内の地価は2012年以降、右肩上がりで上昇中

町家にはもちろん、資産としての大きな価値があります。不動産の価値を計るうえで最も分かりやすいのは地価でしょう。京都市内の地価はもともと安定性が高いうえ、近年はインバウンド需要により上昇傾向が続いています。

市内の公示地価平均は2012年以降右肩上がりで上昇しており、2012年には26万4268円だったのが、2018年には33万4592円と5年間で26.6%もの大きな伸びを示しています(「土地価格相場が分かる土地代データ」より)。

京都市内中心部の地価は東京や大阪などの大都市圏に比べ、安定的に推移するという特徴があります。大都市圏では規模の大きなビジネスを展開できるため、キャピタルゲインを狙う大量の投機マネーが時流に応じて流出入するのに伴って、地価が大幅に上下します。

ところが前回説明したとおり、京都には景観条例に基づく厳しい規制があるので、収益性の高い商業ビルなどを簡単に建てることができません。また、そういった営利だけを目的とする土地取引をどちらかと言えば好まない人も多いので、京都はマネーゲームの対象になりにくい都市なのです。

その証拠に、前述した2012~2018年における大阪市の公示地価平均は京都市より20ポイント以上高い49.4%もの上昇を示しています。

一方、大都市は下落する際にもその幅が大きく、リーマンショックの影響が表れた2008~2012年の動向を比べると、大阪市では30.9%もの下落が見られたのに対し、京都市の下落率は10.5%にとどまりました(「土地価格相場が分かる土地代データ」より)。インバウンド需要が盛り上がるなか、今後も京都の地価は堅調に推移すると予想できます。

海外の投資家から「京都町家」が注目される理由

京都のインバウンド需要をあてこんで、大手ホテルチェーンの進出が相次ぐと、過当競争が発生し、一気に利回りが低下するかもしれません。しかしながら、これまで解説してきたとおり、京都は大きなホテルを新しく建てることが難しい地域です。一部の大手外資ホテルの参入はいくつか見られますが、需要をさらうような急激なホテルの建設ラッシュが起きるとは考えられません。

急増する宿泊施設のなかには民泊も見られますが、新法の施行を機に京都では規制する動きが厳しさを増しており、合法的に収益を上げ続けるのが今後は非常に難しくなっていきます。

民泊の強みは運営・管理コストがかからないことですが、条例等の規制に準じた運営をすれば、コストは増大します。一方、京まち宿は物件数の大幅な拡大を目指しており、スケールメリットを活かして1件当たりのコスト削減を計画しています。将来的に両者の宿泊費の差は、ほとんどの旅行者が意識しないほど近づくはずです。

このように、京都町家投資には限定的なリスクしかなく、存在するリスクもコントロールが可能です。

最近では、国内のみならず、海外からも京都町家投資への注目が集まり、今後についても期待する声が高まっています。不動産投資として比較すると、海外の主要都市の利回りは軒並み低く、ニューヨークやロンドンなどでは2%程度といわれます。同じアジア圏でも、物件価格が高い香港や上海の利回りは同様に低めです。

一方、京都における不動産投資の平均的な利回りは5%程度となっており、世界的に見ても高いことが分かります。また、日本は政治・経済も安定しており、極端なインフレや為替の変動リスクもありません。従って、大きな資本を持つ資産家ほど、リスクヘッジとして京都の不動産を購入したいという強い動機を持っています。

とくに、歴史的な遺物でもある町家については優良な資産と見なす外国人が多く、中国人投資家などからの問い合わせも増えてきました。世界中を投資対象と見なして、リスクと利回りを冷徹に判断する彼らが購入する物件には、国際的な価値があると見なすことができます。京町家はそれだけ高く評価されているのです。

児玉 舟

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190927-00023279-gonline-bus_all&p=1