相続問題は早めに回避せよ!潜在的な問題を深掘りする「相続診断」

2017年10月5日

自分の財産の相続についてどれくらい考えているだろうか。30~40代ではまだそこまでリアルに感じてはいないはずだ。しかし、相続は意外と自分ゴトの面があるという。今から準備しておくことでトラブルや面倒を回避できることもある。

相続診断協会(JiDA)の広報で秘書として活躍する「相続診断士」の斎藤克衣さんに、相続がなぜ自分ゴトなのか、そして相続診断について聞いた。

■相続手続が簡単になる制度が今年5月にスタート

相続の問題というと相続争いや相続税、相続登記されないまま放置されている不動産などがある。このうち、相続登記されない不動産は、いわゆる所有者不明の土地や空き家問題の一つの要因となっているといわれる。相続登記しない原因の一つが「手続きが面倒」で先延ばしにすることだ。

そこで相続登記を促進させるために作られたのが、平成29年5月29日から始まった「法定相続情報証明制度」だ。

簡単にいえば、相続手続の面倒が多少省かれる制度である。従来、戸籍謄本等の束を何度も出し直す必要があった相続手続きも、一度登記所(法務局)に戸籍謄本等と併せて相続関係を一覧に表した図「法定相続情報一覧図」を出せば、無料で登記官が一覧図に認証文を付した写しを交付してくれる。そして以後の相続手続は戸籍謄本等の提出の代わりにその法定相続情報一覧図の写しだけで行えるのだ。

この制度について、相続診断士の斎藤克衣さんは次のように言う。

「便利な制度だと思います。出生から亡くなるまでの戸籍謄本を集めるのは、家族であっても集めるのが大変な作業です。遠方の場合や、縦書きの手書きで書かれた古い戸籍になってしまうと読むことだけでも一苦労です。

不動産の相続登記の申請手続きだけではなく、被相続人名義の預金の払戻し等、様々な相続手続きに利用できます。預金口座がいくつかある場合でも手続きを同時に進めることができるので、時間短縮になります。

相続登記が未了のまま不動産を放置していると、いざ登記をしようとした場合、さらに相続が発生し、より複雑な状況になってしまう恐れがあります。相続登記は義務ではないため、いつでもいいと考えている方もいますが、先延ばしにするとデメリットがあるという事をもっと知っていただきたいですね」(斎藤さん)

■潜在的な相続問題を深掘り!「相続診断」とは

相続のトラブルでもっと厄介なのが、親族同士の相続争いや相続税の問題だ。自分に起こり得る相続問題が未然に分かれば、今から対策を取っておくことで、将来悩まされることもない。そこで今からやっておきたいものの一つが、「相続診断」である。

「多くの方が、相続に対して、漠然とした不安を抱えていたり、逆にまったく準備は必要がないと思っていたりします。相続税は一部の方の問題ですが、相続は誰でも訪れることです。誰もが向き合い、準備することが大切です。まずはそういった現状を知っていただくためにも相続診断が役立ちます」(斎藤さん)

相続診断では、今の自分の状態が分かるという。

相続診断チェックシートの30個の質問項目に答えると「相続危険度ランク」が点数で、「相続緊急度ランク」がA~Eのレベルで出てくる。そして同時に、優先すべき問題は何かのコメントをもらえる。

「相続が“争族”になるか否かの危険度は、目には見えないものです。その状況を見える化することにより、まずは自分で気付くことができます。またその問題をどの程度のスピート感で取り組んでいく必要があるのか、緊急度を把握することもできます」(斎藤さん)

【例】30個の質問項目のうち、以下4つにチェックが入った場合、1~4までのようなコメントが出てくる。

・再婚している
・財産に不動産が多い
・相続税がかかるのかまったく分からない
・子供がいない

1.先妻との間に子供がいる場合、遺産分割が難航する場合があります。
2.相続税がかかる場合、納税資金の確保にご注意下さい。
3.現状把握は相続対策の基本です。概算で構いませんので、一度試算することをお勧めします。
4.配偶者がいても兄弟姉妹甥姪も相続人になりますので、遺言作成をご検討ください。

「この優先すべき問題点を見ながら、相続診断士と一緒に対策を進めていくことになります。問題がなければ漠然とした不安からも開放されます。何を優先的にすべきかが分かれば、前に進むことができます。相続診断士は相続診断でそのお手伝いをしています」(斎藤さん)

■相続は身近で自分ゴトである理由とは

ところで、斎藤さんはなぜ相続診断士になろうと思ったのだろうか。

「共通の知人を通じて、相続診断協会(JiDA)の役員の方とお話する機会があり、資格を知りました。『なぜこの資格が世の中に必要なのか』を聞き、相続が自分ゴトであると知り衝撃を受けたのを覚えています。それまでは『相続はお金持ちの問題』と思っていましたから。まずは自分のため、そしてゆくゆくは家族や周りの方のためになると思い、すぐに受験しました」

相続が「自分ゴト」であると感じたポイントはどこにあったのか。

「当時は、相続とは、“お金持ちが巨額な相続税を払う”ことだと思っていました。しかし 『両親はいるかな?相続は誰もが直面することだよ』と言われてハッとしました。相続=相続税だと誤認していたんです。

また相続分割事件全体の中で、相続税がかからない人が大半を占める5,000万円以下の遺産分割でもめている件数が、全体の74.9%を占めていると知り驚きました(最高裁判所『平成26年度 司法統計年報』)。傍から見ると仲の良い家族だったのに、相続がきっかりで家族がバラバラになってしまった方がいるという話も聞きました。身内の話なので周りに広がることは少ないものの、身近に起きているんだと実感しました。

しかし、『生前に家族で話しておくことにより、争族は防ぐことができる。そのためには正しい知識をもっていること、もしくは相談できる専門家がそばにいること』と教えてもらい、まずは自身が正しい知識をつけ、自分ゴトにすることが大切だと感じました」(斎藤さん)

争族は意外と身近なところにあり、相続税だけの問題ではない。将来、少しでも早く気づいて対策を取っていればと後悔することもあるかもしれない。なかなか話題にしにくいことだからこそ、意識的に取り組んでおきたい事柄といえそうだ。

(取材協力)
斎藤 克衣さん

取材・文/石原亜香利

@DIME編集部

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