都心で人気の「億ション」、買ってる人の職業やキャリアは? 年齢は意外に低い!

2018年7月13日

「億ション」と呼ばれる販売価格が1億円以上の高額マンションの需要が高まっている。不動産経済研究所によると、2017年の首都圏のマンション平均価格は1戸当たり5908万円と前年比で7.6%上昇した。これはバブル期並みの水準だ。また、1億円以上する億ションの発売戸数が前年比52.4%増の1928戸と90年以来の高水準になった。今、誰が億ションを買っているのか。アジア系の資産家が購入しているとの説もあるが、実際はどんなキャリアの人が購入者なのか。

 

■住んでいるが、半分は投資の気持ち

 「東京都心の物件なら、買っても損はしないだろうと判断しました。あくまで実際に住む物件ですが、半分は投資的な意味合いもあります。いわゆる『半実半投』ですかね」。外資系金融機関に勤め、17年に東京都港区にある1億円強のマンションを購入したAさんはこう打ち明ける。



 Aさんは1990年に大学を卒業して国内の大手証券会社に入った「バブル入社組」だが、外資系金融機関に転職して頭角を現し、現在の年収は2千万円を下らないという。



 「再びリーマン・ショック級のことが起きれば、年収なんてアッという間に下がるし、現在の地位も保証されません。資産を現預金や株で保有するよりも、都心の高品質のマンションの方が価値は安定的に担保されると考えました。東京五輪がある2020年以降の不動産動向とかは、全然予測できませんけどね」と話す。



 大学時代の同級生や証券会社の同期組で、都心の億ションに暮らしているという話は「ほとんど聞きませんね」とAさん。「バブル入社組は苦労していますから。僕の場合は、20代で米国のビジネススクールに留学させてもらえたのが奏功しました。マンションの隣人がどんな人かは知りませんが、オーナー経営者の方が多いのではないでしょうか。シンガポールの中国系資産家が購入したという噂は耳にしましたが、実際に外国人の方を目にしたことはないですね」という。

■目黒駅前のタワーマンション、4カ月で完売

 このAさんも購入を検討したという大規模なタワーマンションが17年末、品川区のJR山手線目黒駅前に完成した。東京建物などが大規模再開発の一環で建設・販売した「ブリリアタワーズ目黒」は、分譲住戸661戸の半数超が1億円以上の物件だ。15年7月の発売から約4カ月で完売となり、話題になった。

不動産経済研究所の松田忠司主任研究員は、「少子化といっても、利便性の高い東京都心部の高額物件の人気はどんどん高くなっています。17年は下がるとの見方もありましたが、首都圏のマンション価格はなかなか下がりません。東日本大震災や東京五輪の影響で人件費が高騰しているのも一因です」という。18年も需要は底堅いようだ。



 松田氏は「東京都心部と横浜市の中心街で億ションの供給は増えていて、今後も人気の再開発物件などは強いでしょうね。株価の上昇もあり、富裕層は潤っている。ただ、投機的な不動産投資というよりも実需に近い側面もあるようです」という。80年代後半のバブル期と様相は異なるが、億ションの人気は当時を上回る勢いだ。



 実際、どんな職業の人が億ションを購入しているのか。野村不動産が販売し、17年末に入居が始まった「プラウド六本木」(東京・港、総戸数35戸)。価格は2億円台から、最高で14億3千万円と、国内最高クラスの物件だ。



 プラウド六本木があるのは、地下鉄六本木駅から徒歩4分の閑静なエリアで、専有面積100~300平方メートルと間取りが広く、3種の天然石を外壁に用いるなど、内外装にもこだわったという。平均4億円ともいう高額物件にもかかわらず、ほぼ完売した。



 購入者の内訳は、経営者・役員が62%、医師や弁護士など資格保有者19%、会社員13%だという。年収は3000万円超が大半で、1億円以上が22%を占める。もとの住所も半数が同じ港区だ。

 

■購入者、40代までが多い

 年齢層は意外に高くなく、40代までが37%、50代まで22%、60代まで19%だという。業界関係者によると、トップクラスの億ションを購入するのは、大半がベンチャーの起業に成功したIT分野などのオーナー経営者や役員だ。アジア系の資産家からの投資について、野村不動産は「着実に増えているのではないでしょうか。ただ、当社の物件ではそれほど多くありません」という。他の不動産大手も、「以前、中国系投資家によるマンションの『爆買い』が話題になりましたが、実際にはそれほど多くありません。物件にもよりますが、5~10%ほどではないでしょうか」という。



 首都圏の億ション購入者として、新たに浮上してきたのが地方の資産家だ。「少子高齢化で、地方の過疎化が急速に進んでいる。高度医療を提供する大型病院もなく、自治体のサービスも低下し、不動産価値はどんどん下がっている。昔は住み慣れた故郷で一生過ごそうという人が多かったが、今のうちに東京都心の物件を購入しておこうという資産家が増えている」(大手不動産会社)という。



 億ションの購入者は、株や土地などの不動産を持つ資産家か、年収2000万円以上の高額所得者にほぼ限られる。リクルートエグゼクティブエージェントのエグゼクティブコンサルタントを務める渡辺博一氏は、「日本の大手企業、上場企業でも役員クラスにならないと、年収2000万円を超えるケースは多くはありません」という。一方で、「外資系企業だと、金融やメディカル分野であれば、事業部長クラスでも2000万円を超す人が多い。小規模な外資系でもカントリーマネジャークラスなら超えます。大手の外資系コンサルタントであれば、若手の部長クラスで超す場合があります」という。

■外資系は高収入だが…

 やはり国内の大手企業よりも外資系企業の方が報酬面では恵まれている。しかし、「外資系企業で生き残るのは大変です。金融はリストラが多く、メディカルは合併などの再編を繰り返します。コンサルタントは忙しくて体力面でもきついので、若くないとしんどい。外資系企業で活躍していても、50代を超すとなかなか厳しくなりますね」(渡辺氏)と指摘する。企業のビジネスパーソンのみならず、弁護士や医師の競争も年々激しくなっており、年収2000万円以上の高額所得を維持するのは決して楽ではない。



 現在、億ションは東京都心の港区、千代田区、中央区を中心に供給が続いている。さらに周辺の渋谷区、目黒区、世田谷区、杉並区、そして横浜市の中心街でも次々登場しようとしている。少子化の流れの中、日本の人口は確実に減ってゆくが、大都市圏の中心部のマンションの人気は下がる様子がない。憧れの億ションを手に入れるには、まず「勝ち組キャリア」になり、それを磨き続ける必要がありそうだ。

(代慶達也)

NIKKEI STYLE

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