2003年以降のマンション価格を検証 「いつ」「どこに」買うのが正解だったか

2021年2月10日
マンション購入で自分は得したのか、損したのか――。
買った後に、その損得勘定について考える人は少なくないだろう。
その明暗を左右するのが「時期」と「立地」だが、それによって実際にどのくらい得、または損したのかといった明確な情報は少ない。
不動産ビッグデータを駆使した調査・コンサルティングを行うスタイルアクト株式会社代表取締役の沖有人氏が、試算したデータをもとに解説する。
 
 
 
「自宅マンションを購入すると儲かる」というのは今や当たり前の話である。
これを知らない人は大損をしている。
その点については、昨年12月に配信したコラムの〈持ち家と賃貸どちらが得か? 直近10年間では「3000万円」の差も〉に書いたとおりだ。
さらに、この3000万円の差は「いつ・どこにマンションを買ったか」でも大きく変わってくる。
 
 
 
私たちが運営している無料会員制サイト「住まいサーフィン」では、毎年年始の恒例企画として、2003年以降に竣工されたマンションの新築時の価格と中古売り出し価格を住戸単位で比較し算出した「市区別×竣工年別中古マンション価格の値上がり率(騰落率)」を発表している。
自分が購入したマンションの竣工年と立地に該当する箇所の騰落率をクリックすれば、おおよそのマンションの“偏差値”が「大吉」、「中吉」、「凶」などおみくじ形式で判定される仕掛けだ。
多くの人は、自宅マンションは1つしか買えない。その1つが成功か失敗か、それを判定するわかりやすい指標となるだろう。
 
 
 
この騰落率から、中古マンションの資産性の“実績”が判明しているので、新たに売り出される新築マンションの資産性もある程度評価できる。
つまり、新築や中古マンションを買う前から、その実現益を見越すことも可能となるのだ。
例えば、3年後に竣工する新築タワーマンションを買った人が、転居までの間に住むための中古マンションを買う場合でも、「騰落率」という値上がりしそうなマンションの“基準” を知っていれば、新築と中古、どちらを購入した場合でも損せずに済むのである。
 
 
 
マンションが値上がりするかどうかは、「いつ」「どこに」買ったかで決まる。
「いつ」買えばもっとも得だったかの答えは、竣工した年で言えば2013年のアベノミクスの経済政策の1つである金融緩和が始まった当初である。
金融緩和で市場にたくさんのお金が溢れると、担保が取れる不動産に資金が流れやすく、金利が下がることで不動産価格も上昇する。
実際アベノミクス以降、マンション価格は上昇しているため、当時は非常に割安だったと言えるだろう。
 
 
 
「どこに」買えば得だったかは、やはり都心が有利で、都県単位で平均騰落率を見ると、東京都区部、神奈川県、埼玉県、東京都下、千葉県の順に値上がり幅が大きい。
都区部の中でも都心3区(千代田区・中央区・港区)は24.1~30.6%値上がりしており、2003年以降いつ購入してもプラスで推移していた。
この3区のほか、新宿区、文京区、渋谷区、台東区、江東区、品川区でも17~25.3%の値上がり率となっており、これらの地域では、どのタイミングで買っても値上がり率はプラスで推移している。
 
 
 
京都市中京区では41.4%の上昇
 
今回発表した騰落率を首都圏平均の竣工年別に見ると、最も損した年は2008年のリーマン・ショックの年で、マンション価格が高かった時期である。
この年に竣工したマンションは平均で11.2%値下がりしており、2018年までの全体と比べて最も悪い。
しかし見方を変えれば、既に竣工から10年も経っているのに、11.2%しか下落していないとも言える。
 
 
 
もし、賃貸に住み続けた場合、毎年物件価格の約4%相当の家賃を支払わなければならない。
10年で物件価格の約40%もの現金を失う計算だ。
マンション購入であれば、住宅ローン減税などでローン残高の一部が所得税から控除されるが、賃貸で支払った家賃は絶対に戻ってくることはない。
もちろん、持ち家の場合は、税金や維持費もかかるが、それを差し引いてもメリットは大きいと言えるだろう。
 
 
 
こうした状況が生まれている背景にあるのは、やはり金融緩和だ。2023年の黒田東彦日銀総裁の任期まで金融緩和は続くと思われるが、その中で早く買った者から得をしていると言える。
さらに、より値下がりしにくいエリアにマンションを購入していたら、プラスの幅はさらに大きくなる。
 
 
 
都区部以外の首都圏の平均騰落率も見ておこう。
都下では武蔵野市、小金井市、三鷹市がマイナス0.9~2.1%と比較的変動幅が小さく、上位3位を占めた。神奈川県では、横浜駅のある横浜市西区が20.7%、川崎駅のある川崎市幸区と武蔵小杉駅のある川崎市中原区が9.4%と値上がり率トップ3だった。
埼玉県では、さいたま市大宮区、浦和区、上尾市の3つのみが4.7~6.7%の値上がりとなり、千葉県で値上がりしたエリアは、成田市の10.7%と浦安市の2.1%のみだった。
 
 
 
首都圏だけでなく近畿圏も見てみよう。
値上がりの傾向としては、「いつ」は首都圏の場合と同じだが、エリアでは京都市と大阪市の中心部の値上がり幅が大きかった。
京都市では、中京区が41.4%、東山区が24.3%、下京区が21.5%の値上がり率となり、大阪市では、福島区23.2%、北区21.1%、西区20.1%の順で値上がり率が高かった。
大阪市は、特にタワーマンションの価格が上昇している傾向が見られた。
 
 
 
こうした情報を知っているだけで、自宅は「資産」に変わる。
賃貸に住んで家賃を支払った場合との金額差は数千万円にもなり、一般的な平均生涯年収が2億円と考えると、かなり大きな割合を占める。
お金を増やすには、自分が働く以外に、マンションという「資産」に稼いでもらうという考え方も知っておいてほしい。
 
 
 
【プロフィール】
沖有人(おき・ゆうじん)/スタイルアクト株式会社代表取締役。
国土交通省「住宅エネルギー性能表示検討委員会」の委員なども務める。
『独身こそ自宅マンションを買いなさい 今すぐ始める「家活」で自分を守る資産をつくる』(朝日新聞出版)、『マンションは学区で選びなさい』(小学館新書)など著書多数。
分譲マンションの無料会員制情報サイト「住まいサーフィン」を運営。
 
 
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/ba89778af72949a50b4f9f2f690ae762306f2433?page=1